大会の論題

共通論題: 「サステナビリティーと国際経済」


 第69回全国大会では、21世紀の人類が抱える最重要課題とも言える「サステナビリティーと国際経済」を共通論題として取り上げます。国際経済学では、「貿易と環境」あるいは「持続可能な開発」といったテーマが活発な研究の対象となって久しくなります。日本国際経済学会においても、第63回全国大会で「世界経済と地球環境」が共通論題として取り上げられ、途上国の観点から環境問題が議論されると同時に、企業レベル及び政策レベルから持続可能な発展の問題が議論されたことは記憶に新しいところです。しかし、その後、気候変動問題への関心は世界規模でさらに高まり、地球温暖化、資源・エネルギー不足等の様々な問題を総合的に捉えた「サステナビリティー学」が経済学を含む学際的な総合科学として確立しつつあります。こうした中、2008年には、原油や貴金属・レアメタル価格が急騰し、人類がこれまでのパラダイムで経済活動を持続することに対する問題が浮き彫りにされました。一方、2009年12月の国連気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)では、2013年以降世界各国がとるべき目標は合意されず、サステナビリティーに係わる問題に関しては、単純明快な解決案を見出すことがいかに困難であるかが再確認されたところです。

また、この問題に関連する最近の動きとしては、低炭素型社会に移行するための具体的な政策手段を提言した「スターン報告」(2006年)が大きな反響を呼び、欧米では当該報告の是非を議論する大規模なシンポジウムも開かれています。世界銀行や世界貿易機関(WTO)では、環境保全技術の移転手段としての貿易や投資の役割が議論されています。さらに、環境保護の視点は、ドーハラウンドや自由貿易協定において重要なテーマとなりつつあり、GATT時代の貿易優先主義からのパラダイムシフトが起こりつつあります。こうした動きに対応して、わが国においても、少なからぬ研究者が、貿易と関連する視点を含めて、科学的、政策的側面からサステナビリティーに関わる諸問題を精力的に研究されておられます。

以上の事実を踏まえ、気候変動に関連した市場の失敗が国際経済および国際経済学に対して持つインプリケーションを総括し、今後の課題を展望することは有益であろうと考えられます。具体的には、貿易、投資、開発が気候変動に及ぼす効果、温暖化をめぐる国際協調とWTO下の国際貿易協調との整合性、サステナビリティーに向けた国際経済の領域における政策手段の設計と実効性等を分析した理論的、実証的研究の報告を期待しています。プログラム委員会としては、以下のような問題領域を想定しています。


@資源・エネルギー問題と国際経済 
A環境と貿易 
B国際貿易の新しいパラダイム
C環境と開発 
Dサステナビリティーに向けた制度設計(排出量取引、炭素税等)
Eその他

上記の共通論題に対する会員各位の積極的な応募と、当日における活発な討論を期待しております。



自由論題:「自由テーマセッション」


全国大会の自由論題につきましては、例年通り自由なテーマで報告希望の申し込みを受け、それらを幾つかの分科会に分けて構成する方法をとります。全国大会準備委員会では、あらかじめ以下のようなテーマを想定しておりますので、自由論題の報告希望者は、報告申込書に該当テーマを明記して、お申込み下さい。テーマごとの報告希望者の数を見て、プログラム委員会が自由テーマセッションを最終的に確定いたします。

  1. 貿易
  2. 国際金融・国際マクロ
  3. 国際貿易と企業
  4. 途上国・移行経済
  5. EU 経済
  6. 北米・ラテンアメリカ経済
  7. アジア経済
  8. 地域経済統合
  9. グローバル金融・経済危機
  10. 国際政治経済学
  11. 国際金融アーキテクチャー
  12. 共通論題関連
  13. その他

今回は、故小島清先生の功績を称えるため、直接投資、アジア経済等、先生のご研究分野に密接に関連するトピックを扱った論文を選び、特別セッションを設ける予定です。このセッションでの発表を希望される会員は、その旨を報告申込書に記入してください。さらに、従来の日韓セッションに加え、新たな試みとして2つ程度の英語によるプレゼンテーションを行うセッション(英語セッション)も設ける予定です。具体的なトピックにかかわらず、英語による発表を希望される場合も、報告申込書に明記してください。