特徴

世界最先端の研究機関

 本研究科の第一の特徴は、常に世界最先端の研究機関であり続けるという強い決意とそれらを示す過去の実績です。

 本研究科創設当時には、まだ「マルクス経済学」が日本において支配的な位置を占めていましたが、本研究科の創設にあたった人々はいち早く「近代経済学」が世界における正統派の経済学であることを認め、本研究科をこの方向に向けて船出させました。その後もこの方針が堅持された結果、本研究科は創設後いくばくもなく、日本における「近経のメッカ」と呼ばれるようになり、近代経済学の発展をリードする世界的な研究機関としての名声を確立しました。

 経営学の分野では、現代マネジメント・サイエンスを時代に先駆けて導入した後、一貫して高度に分析的・数理的な研究手法を開拓し続け、この面で最先端に立ってきました。さらに、歴史研究の領域においては、ドグマにとらわれず、根本史料の発掘とその科学的分析をなによりも重視する実証史学の立場にたち、幾多の斬新な研究業績を挙げてきました。この「大阪学派」は、現在では学界の主流となっています。

強力な教授陣と活発な研究・教育活動

 第二は、前にも述べましたように、高い研究・教育の水準を維持するために、優秀な人材を教員スタッフに登用する努力を続けてきたことです。日本の大学人事はとかく閉鎖的だといわれがちですが、本研究科にはその弊はまったくありません。業績を第一にし、自由と進取の精神をもち、研究と教育に情熱をかたむける人々を学閥にとらわれずひろく採用するという方針を貫いてきたからです。教員中に占める自大学出身者の割合は、大阪大学経済学研究科は29%でした(自己点検・評価報告書 2003.4 〜2006.3による)。

 このような人材の登用方針は、バラエティに富む教員間でのほどよい緊張関係と研究上の相互刺激を醸成し、活発な研究・教育活動を結果としてもたらしています。例えば図1は、経済学の理論・政策分野での最も有力な学会である「日本経済学会」年次大会において、2002年から2011年にわたる10年間で報告者、座長、討論者の在籍大学(当時)を示したものです。

 また、同様に「日本経済学会」の機関誌であるJapanese Economic Reviewは、厳格なレフェリー制度を有し、同誌に掲載される論文・覚書は、世界的レベルの学術業績とみなされています。図2は1992年〜2011年の20年間において、同誌に採用された論文・覚書の執筆者(教員と大学院生)の所属大学を表したものです。

 大阪大学が経済学系教員のポストが比較的少ない大学であることを同時に考慮すれば、これらのデータは、大阪大学に所属する個々の教員の活発な研究活動と顕著な業績の一端を物語るものに他なりません。

豊かな国際性

 第三に、本研究科がめざしてきたことは、国際性豊かな学府にすることです。世界的な学者の招聘、外国人教員の任用、教員の海外留学研修の奨励、国際研究集会の開催、外国大学との交流協定の締結、留学生の受入れ、大学院生の留学、外国語による授業など、本研究科は他大学院に先んじて、世界に開かれた大学になるための努力を積み重ねてきました。この結果、今日の本研究科は、国際情報の受信地としてばかりでなく、発信地として大きな役割をはたしています。

 本研究科の教育の重要な部分を担っている社会経済研究所では、米国ペンシルベニア大学と協力し、世界で最も権威のある学術誌の一つである「International Economic Review」を編集しており、本学の名を世界の経済学学徒に知らしめています。経済学の分野で、世界的権威を持つ学術誌を編集している大学は、国内では大阪大学以外にはありません。

 さらに、本研究科の教員の多くは世界の指導的学術誌の編集委員を務め、諸外国の研究者と共同研究を行う者も少なくありません。この数年に限っても、本研究科の教員の主催による国際学術会議が多く開かれ、アメリカのプリンストン大学、ペンシルベニア大学、シカゴ大学、コロンビア大学、カリフォルニア大学、ブリティッシュ・コロンビア大学、イェール大学、イギリスのロンドン大学などから一流の研究者が本学を訪れました。最近では他大学でも外国人教員が雇われることが珍しくなくなりましたが、本研究科でこれまで大学院教育を担当した8人の外国籍教員は、母国の一流大学において教えた経験を持つ学者であり、知日派の経済学者として世界的評価を受けています。このような優れた学者が本学に在籍すること自体、世界の学界における当研究科の評価の高さを示しているといえます。

社会に開かれた大学

 第四に、本研究科は、実学を尊ぶ大阪という土地柄を反映して、現実社会が直面している問題に果敢に取り組む学風を重んじています。いうまでもなく、大学は冷徹な学理追求の府でありますが、経済学・経営学が人間社会の現象を取り扱う学問である以上、現実社会から遊離する姿勢は許されません。

 本研究科教員スタッフはたえず社会で生じている出来事に深い関心を持ち、それを研究・教育に反映させ、さらに進んで政策提言や立案を通じてその解決に学問的貢献をなそうとしています。本研究科の教員は、金融制度、税制など国民生活に密接な分野において、政府の調査会の審議会の委員を務めたり、官民の研究所などの顧問、研究員として社会に貢献してきました。

総合大学の魅力

 本研究科には総合大学としての大阪大学の一部であるという魅力があります。欧米では、大学院教育はリサーチ・ユニバーシティーと呼ばれる一流の総合大学で行われることが常識となっていますが、本学は11学部、16研究科、5研究所、24教育研究施設(平成22年10月)などを擁する名実ともにわが国を代表するリサーチ・ユニバーシティーであり、医学・歯学・理学・工学などにおいても世界的名声を得ています。現在、1万6000人以上の学部生に加えて、 8000人以上の大学院生が本学において学んでいます。

 平成18年度からは、大阪大学金融・保険教育研究センターが新しく設立され、金融・保険分野での研究を志す大学院生にとって、学際的で最先端の教育と研究環境が提供されています。

 リサーチ・ユニバーシティーとして、大阪大学には、図書館、コンピュータ施設、福利厚生・健康管理施設などを完備しているだけでなく、すべての分野にわたり真理を追究する学者の共同体としての学風があります。諸外国の大学や研究機関との交流も活発で、当研究科が持つ協定大学6校に加え、本学全体では、100以上の諸外国の一流大学と学術交流協定を結んでいます。本学には50数か国から約1000人の留学生が学び、長期、短期で研究に従事する外国人学者の数は昨年1500人を超えました。諸外国から多くの留学生を受入れ、諸分野において多くの優秀な研究者を世に送り出している本学の学位は、世界で通用するものです。

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