公開講義|講義要旨

講義名

公開講義「会社の仕組み・企業の運営 ―製造業への実務からのアプローチ―」 平成14年度2学期

講義要旨

「開講の辞」
大阪大学経済学研究科 研究科長 田畑 吉雄 氏

田畑 吉雄 氏

 


 第1回 10月4日

「会社の経営戦略」
ダイキン工業株式会社 経営企画室部長 高橋 孝一 氏

高橋 孝一 氏

 第1回目の講義ということで、ダイキン工業株式会社の財務内容・組織形態に関する概要の説明がなされたあと、95年以来、実施されてきた一連の経営革新のための施策に基づいて、①フラット&スピード、②人基軸の経営、③フュージョン(融合)政策および④実行につぐ実行などを核とする、ダイキン工業の基本経営戦略の説明がなされた。


 第2回 10月11日

「企業モデルと財務尺度」
大阪大学経済学研究科 教授 高尾 裕二 氏

高尾 裕二 氏

 財務会計の研究者の立場から、ガバナンスの観点からの企業モデルと各企業モデルに適合する主要な財務尺度を概観するとともに、ナレッジ・ベース経済のもと、財務尺度に加えて、多様な非財務尺度についても、今後、外部報告会計に取り入れる必要があるとの立場から、その基本的な方向性について示唆した。


 第3回 10月18日

「時価総額重視の経営と財務戦略」
ダイキン工業株式会社 管理・財務部長 伊達 昭二 氏

伊達 昭二 氏

 「時価総額重視の経営と財務戦略」と題して、「フリー・キャッシュ・フロー重視」、「率の経営重視」の観点から、目標とする一連の財務指標を指摘されるとともに、それらの目標財務数値を達成するための施策として、売上の拡大、収益の向上、投資の効率化など各項目ごとに、具体的な企業方針を順次講義された。


 第4回 10月25日

「企業の人的資源管理」
ダイキン工業株式会社 人事部長 田辺 貞夫 氏

田辺 貞夫 氏

 企業の人事管理の観点から、ダンキン工業における2000年度以降に実施され、また実施中の人事・処遇制度の抜本的改革について、その全体的な狙いおよび個々の具体的な改革項目を詳しく説明され、講義の締め括りとして、現時点における何よりも重要な課題は、「総人件費の構造改革」への取組みであることを指摘された。


 第5回 11月8日

「コーポレートガバナンスと企業社会」
ダイキン工業株式会社 経営企画室長 出野 精二 氏

出野 精二 氏

 会社機関に関する商法改正なども踏まえながら、ダイキン工業のコーポレートガバナンスの最近の取組みに関して、①経営マネジメント(トップ・マネジメント)の革新を中心に、②資本の論理・時価総額重視の経営、③人を基軸にしたフラット&スピード経営、④公開性・透明性重視のステークフォルダーへの対応、から成る独自の「トータル・コーポレートガバナンス」について、詳細かつ興味ある講義がなされた。


 第6回 11月15日

「企業倫理と監査・審査」
ダイキン工業株式会社 常任監査役 柴田 信幸 氏

柴田 信幸 氏

 経営者あるいは取締役に比べ、一般に、知られることが少ないと思われる監査役および監査役の業務に対し、今後、多くの方々が関心をもつようになってもらいたい、との目的から、企業ガバナンスに関する商法の変遷、監査の立場からみた企業環境の変化、グループ監査会議を始めとするダイキン工業株式会社の監査・審査の独自の取組みについて、順次、分かりやすく説明された。


 第7回 11月22日

「地球環境問題と企業経営」
ダイキン工業株式会社 地球環境室長 渋谷 健三 氏

渋谷 健三 氏

 最も電力消費が多い家庭用電化製品はエアコンであるといったことから、ダンキン工業は環境に深く関わっている。このような認識のもと、「地球環境問題と企業経営」と題して、前半は、温暖化・酸性雨等の全般的な地球環境問題について、後半は、商品および生産の環境負荷逓減の取組みやそのマネジメントシステムの現状等、独自の環境への取組みについて、「ダイキン環境報告書」に沿って、講義がなされた。


 第8回 11月29日

「企業の事業提携戦略」
ダイキン工業株式会社 取締役 グローバル戦略本部長 植松 弘成 氏

植松 弘成 氏

 スピードがキー・ワードである現在の経営にあって、提携は極めて重要な戦略の一つである。ダイキン工業における提携戦略についての基本的な考え方の説明の後、米国第2位の空調機メーカーであるトレーン社との提携の狙い・背景、提携に至るプロセスについて、実際に交渉を担当された立場から、今後の教訓も含め、興味ある講義がなされた。


 第9回 12月6日

「コア事業の事業戦略Ⅰ(空調部門)」
ダイキン工業株式会社 空調営業本部 企画部長 大山 敏允 氏

大山 敏允 氏

 空調機の国内営業を担当するお立場から、業務用エアコン・ルームエアコン・空気製品の市場環境・シェア・売上高の推移などを概観したのち、事業への取組みが、シェア、収益力およびブランドの観点から、具体的に説明された。ダイキン工業は、生産・営業・物流・サービスのすべてが、同居するユニークなメーカーである。この特徴を最大限生かそうとする事業内容は興味深いものであり、「雑木林経営」・「全品全販」といった空調営業本部のスローガンも飛び出した。


 第10回 12月6日(16時20分~)

「コア事業の事業戦略Ⅱ(フッ素化学部門)」
ダイキン工業株式会社 化学事業部 企画部長 中村 成雄 氏

中村 成雄 氏

 ダイキン工業は、デュポン社に次ぐ世界第2位の総合フッ素化学メーカーである。講義では、多様な用途をもつ優れた素材であるフッ素化学の内容がビデオで紹介され、グローバル競争を余儀なくされる素材産業という観点から、アメリカ、ヨーロッパ、ついで最近の中国におけるグローバル展開を中心に興味深い講義がなされた。素材としてのフッ素自体はほぼ開発しつくされているとして、新用途・周辺事業の開拓、提携戦略の重要性などが強調された。


 第11回12月20日

「製品開発の現場」
ダイキン工業株式会社 空調営業本部 店舗システム営業部 部長 藤本 遊二 氏

藤本 遊二 氏

 数あるイノベーション事業のうち「店舗システムサービス事業」の開発と営業を担当され、その体験を踏まえ製品開発の現場を紹介された。改装を含めて毎年数多く新設されるコンビニ店舗に対し、空調設備単体の販売からコンビニトータルシステムの販売に発展させ、開店前後のコスト削減から省エネ、省スペースにつなぎ、更には工事から保守メンテまでの一括受注を実現。そして今後ファーストフード、ファミリーレストラン等、更には世界のそれらへの展開を考えていると熱っぽく語られた。


 第12回 1月10日

「工場ともの作り」
ダイキン工業株式会社 空調生産本部 副本部長 檀野 博 氏

檀野 博 氏

 空調機をベースとした「工場とものづくり」に関して、なんとか日本国内においても生産を維持するとの強い意思のもと、グローバル環境下で競争力を維持するため、①ハイサイクル、②ハイスピード、③低コストおよび④高付加価値の4つの基軸からなるダイキン工業のもの作りへの様々な新しい取組みが熱っぽく語られた。最後に、緊急の課題として「技能者」養成の必要性が強調された。


 第13回 1月10日(16時20分~)

「サービス体制及びソリューションビジネスへの取組」
ダイキン工業株式会社 サービス本部長 副嶋 稔 氏

副嶋 稔 氏

 修理サービス、保守契約およびオーバーホールを主要業務とするサービス本部を指揮される立場から、3つの基本戦略、つまり、最高のサービス品質の実現(CS戦略)、ソリューションビジネスの展開および顧客満足と経営効率化の両立を計るITシステムの構築について、それぞれその内容を詳しく講義された。究極の目標は、サービス本部が、CSの向上を基盤に、収益を拡大し全社の業績に貢献することである。


 第14回 1月24日

「魅力ある企業を目指して」
ダイキン工業株式会社 代表取締役会長 / CEO 井上 礼之 氏

井上 礼之 氏

 ダイキン工業のトップのお立場から、経営の変革とは、中国をどのようにみるか、提携・連携戦略のあり方、企業ガバナンスと時価総額重視の経営、人基軸の経営とは何か、トップリーダーの役割と求められる人材について、ダイキン工業の考え方を、順に講義された。環境問題・企業倫理問題への対処も含め、ベスト・プラクティス経営を自ら創造すること、そのためには、プロセスの現場に自ら入り込み、問題点を把握し、そこで解決に向けてのアイデアを得、革新を率先することの重要性を強調された。


「閉講の辞」
大阪大学経済学研究科 教授 / OFC運営委員長 高尾 裕二 氏

高尾 裕二 氏

 

*上記の講義要旨はOFC運営委員会・事務局の責任で編集したものです。
*記載している肩書きは、講義当時のものです。
*3、4年次以上配当の講義です。履修を希望する学生は、大学の手続きに従って登録してください。

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