第29回OFC講演会
演題
「中国農村・農民の危機と食糧問題」
開催日時/場所
平成20年7月23日(水)午後6時半~ / 毎日インテシオ
講師
オックスファム香港中国部顧問/河北大学中国郷村建設研究中心主任研究員 李 昌平 氏
大阪大学大学院経済学研究科 准教授 深尾 葉子 氏
会場風景
講演要旨
現在、中国の農村と農民は危機に直面している。都市民に対して差別化された農民戸籍問題。出稼ぎによる劣悪な労働条件と給料の不払いなどの問題。水汚染、土壌汚染が進行し、農民は農業に希望を見出せず、農村からの脱出を渇望する。このような状況のもとで、中国は数年前から数度にわたる大規模な食糧輸入を行っており、国際的な食糧価格に多大な影響を与えている。
農業の近代化は農業の互助、協力が、農民の近代化は農民や農民工が国民としての待遇を平等に享受することが、農村の近代化は「土地の集団所有制」−「民有制」の実施が、それぞれ基礎になるべきだ。農業、農村経済、土地財産権による利益を農民と農村の手に残すことで、約6億の農民が農村で穏やかな暮らしができるよう保証するべきである。 農民工の給与は都市でのゆとりある生活が保証でき、農村を出る際の土地所有権の分配金によって都市で安心して生活できるようでなくてはならない。
健全な農村、農民がいてはじめて、農産物の増産、食糧の自給率が上がることになり、ひいては中国の内需中心型経済への転換の要となりうる。中国の9億にものぼる農村戸籍人口が豊かさを手に入れることが、世界経済にも大きな役割を果たしうるのだ。 日本の終戦直後の農業政策に見習うことは多いし、農業技術指導など支援を期待している。
☆講演のなかで、深尾先生から適宜コメント、解説が入り、講演の内容に対する理解が深められた。
(講演は中国語で行われ、通訳は大学院生が担当した)
*この講演要旨は、OFC事務局の責任で編集したものです。