• 第48回OFC講演会

    演題

    「22世紀に輝く大阪大学の未来戦略」

    開催日時/場所

    平成27年5月28日(木)午後6時半~ / 学士会館2F 202号室

    講師

    大阪大学理事・副学長(阪大未来戦略機構・研究部門責任者) 相本 三郎 氏

    相本 三郎 氏

    プロフィール

    • 1993年大阪大学経済学部卒。1999年東京大学経済学研究科博士課程修了博士取得。 1998年東京大学社会科学研究所助手。1999年慶應義塾大学経済学部講師。助教授、准教授を経て、2009年教授、現在に至る。この間、政府・地方自治体の各種審議会、研究会の委員を歴任。
    • 専門は財政学、公共経済学、政治経済学。
    • 「アリとキリギリスの日本経済入門」(2003年)、「地方債改革の経済学」(2007年、日経・経済図書文化賞、サントリー学芸賞)など著書多数。

    講義風景

    • 会場風景
    • 会場風景

    講演要旨

      
     今大学は猛烈な勢いで変わることを求められている!どんなふうに、なぜ求められているか、それに対し大学執行部がどう考え取り組もうとしているかを語る。「22世紀に輝く」は、21世紀の間違いではないかと言われるが、間違いではない、未来に向かって素晴らしい大学を創ろうとの意気込みを込めている。
    まずは、自身の勉学、研究と阪大の関わりから話し出す。(この部分省略)

    ○ 阪大ナウ
     学部生は国立大で最大の15,500名、留学生が2,000名強、女性が元気、「サイエンスインカレ2015」では35組表彰のうち6組が阪大生、本をつくる「ショセキカ」プロジェクトで新しい視点の書籍出版、将棋の竜王が誕生、阪大ウイスキー「光吹‐MIBUKI」開発などキャンパス内は元気である。また、企業人事による新入社員の大学ランキングで阪大生が№1に評価されたが、これは、実学を重んじる適塾の源流が現在も脈々と流れている証ではないだろうか。一方、国際的な大学ランキングはさまざまな評価があり50位前後であるが、QS World University Rankingsでは55位(国内3位・2014年度)となっている。

    • ○我が国の大学を取り巻く状況
       18歳人口が減少し続け、さらに減少することは間違いない情勢であり、人口減少は国 の活力を維持できない状況なので、大学の国際的地位向上を図り、英語で講義するなど近隣諸国から学生が来てくれる大学にしなければ、我が国を支える人材は育てられないと考えている。また、提出される論文数も主要国では伸びている中、日本だけが減少傾向にある。一方、国から支払われる一般運営交付金は、各大学とも年々減額(1.5%)されている。阪大の場合は、1.3%(5億円弱)の減額である。大学の発展は、財務充実がその基盤であるが、世界の有力大学の財政状況を見ると、膨大な寄附金をベースにした自己収入、基金運用益など豊富な資金で優良な施設、優秀な人材で研究を進めているのと対照的である。

      ○ 政府の施策 
       政府でも危機感を感じ23年8月に第4次科学技術基本計画を決定、学術のあり方、 大学のあり方の抜本的な改革に乗り出した。大学改革実行プラン、国立大学改革プランと矢継ぎ早に、大学改革の強化促進事業に取り組むよう求められている。科学技術基本計画では、持続可能な成長、社会の発展の実現、我が国が直面する重要課題への対応、人材育成の強化、社会とともに創り進める政策の展開などを骨子としている。23年6月には、大学改革実行プランが策定され、社会の変革にを担う人材の育成、社会の期待に応える大学改革を主体的に実行することを求めている。さらに大学機能再構築のためのガバナンスの充実・強化も要請されている。国際的に開かれた大学、研究体制でグローバル化が求められており新しい切り口、新しい研究分野の創設が期待されている。27年5月には来年からスタートする第3期中期目標のもとで、「経営戦略」策定に向けた方向性が示された。その骨子は1.将来ビジョンに基づく機能強化、2.自己改革、3.財務基盤の強化、4.未来産業社会を支える環境形成である。我々執行部は計画・実行するため頭を悩ませている。

      ○ 大阪大学の改革
       2031年に創立100周年を迎える。その時点で世界トップテンの大学を目指す。 阪大の原点、緒方洪庵の適塾には日本全国から意欲ある若者が集い、切磋琢磨して学び、優れた人材が巣立った「適塾」から、Global Univarsity、「世界適塾」へ世界の若者が集まる場とする。 新執行部はこの4年間で40の企画を立ち上げ推進してきた。世界的塾を含め、大学を変革させる組織「未来戦略機構」の設置などがある。大学全体の戦略的司令塔の機構長には、総長自らが就任している。その中で、教育研究推進部門では、強みを活かし大学全体が取り組むべき戦略的課題に対する9部門を設置、認知能ロボティクスなどの研究も推進対象にしている。また、グローバルヒストリー研究では、部局横断的に結合し、海外の研究者と人材交流を推進中である。グローバルキャンパスとして、留学生の倍増、また、教員の国際化、多様化に向けた戦略として「子亀プロジェクト」を進めている。 「世界適塾大学院(仮称)」の構想では、阪大の強みは現場力であり、泥臭いことのできるリーダー人材を輩出することで我が国のみならず世界の中で存在感のあるものとするとして、Ⅰ・あらゆる状況で生き残れるサバイバル力のある人材、Ⅱ・徹底した戦略・戦術で勝ち抜ける人材、Ⅲ・専門を究めることができる人材を目指そうと考えている。今後の推進にご支援を賜りたい。

      *この講演要旨は、OFC事務局の責任で編集したものです。

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