第26回OFC講演会

演題

「IMF改革と日本の役割」

開催日時/場所

平成19年6月6日(水)午後6時半~ / 大阪大学中之島センター

講師

大阪大学大学院経済学研究科 教授 高木 信二 氏

高木 信二 氏

プロフィール

  • 米スワスモア大卒。米ロチェスター大より経済学博士号(Ph.D.)取得。
  • 国際通貨基金(IMF)エコノミストを経て、1990年に阪大赴任。1995年より現職。この間、大蔵省財政金融研究所主任研究官、米国エール大学客員教授、IMF独立評価室審議役、アジア開発銀行研究所客員研究員等を歴任。
  • 著書に「入門国際金融」第3版等、その他70本以上の論文を主に欧米にて公刊。

会場風景

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講演要旨

 最近はIMF(国際通貨基金)のことがニュースになることもなく、その業務に対する認識も薄くなっているが、長年IMFのエコノミスト、独立評価局審議役をされた経験からIMFの現状を考察し、改めてその存在意義を明らかにされた。さらには、世界経済の変貌に応じたIMFのあるべき姿を考え、機能させるために必要な改革と日本の役割について熱く語られた。

 IMFの主な業務は、加盟国の為替相場政策、国際通貨制度の監視(サーベイランス)、経済安定化プログラムを支援する外貨の貸付、政府および中央銀行への技術支援である。これまで経常取引にかかわる決済の自由化には大きく貢献してきたが、世界経済の大きな変化(とくに資本取引の飛躍的拡大)に対応しきれないでいる。資本取引についてIMFは直接の権限を持っておらず、またIMFにそのような権限を与えるために必要な合意への道は遠い。

 経済政策の分野では、各国を説得し、政策協調を仲介することが国際機関に期待されるが、その実効性は理論的にも、政治的にもむずかしい。IMFの意思決定はクオータ(出資額)に応じた投票権によるが、最近の新興市場国の台頭によって、先進国の声を過大評価した従来のガバナンスは合法性を失いつつあると指摘される。

 IMF改革は日米を中心とする大出資国が指導すべきであり、日本の役割が期待されるが、大した貢献はできていない。財務省の政策立案能力を高めるためには、より戦略的な人員の配置、比較的人員に余裕のある日銀の専門知識のより積極的な活用などを考えるべきであると結ばれた。

◎参考図書等・・・http://www.imf.org/external/japanese/index.htm

*この講演要旨は、OFC事務局の責任で編集したものです。

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