第33回OFC講演会

演題

「プレゼンテーションにおける非言語コミュニケーション」

開催日時/場所

平成21年11月20日(金)午後6時半~ / 東京 鉄鋼会館

講師

政策研究大学院大学副学長 大田 弘子 氏

大田 弘子 氏

プロフィール

1976年 一橋大学社会学部卒業。
1993~1996年 大阪大学経済学部客員助教授。
その後、政策研究大学院大学政策研究科助教授・教授を経る。
2002年 内閣府政策統括官付参事官、内閣府大臣官房審議官、内閣府 政策統括官を歴任。
2006~2008年 安倍・福田内閣で内閣府特命担当大臣(経済財政政策 担当)を務める。
[著書]

「安全と安心の経済学」「民からの改革」(共著)「リスクの経済学」「良い増税 悪い増税」「経済財政諮問会議の戦い」など。

講義風景

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講演要旨

 世界の景気は、各国の景気刺激策の効果もあって、アジアを中心に持ち直しの動きが広がっており、徐々に回復してきている。そのなかで、いま日本が考えねばならないことは、世界経済は新たなステージに移行しつつあるということ。新たなステージで日本経済がどのような位置づけになるかを強烈に意識しておかねばならない。この観点で、日本の状況は楽観できない。なぜなら、危機以前から日本は構造的弱みを抱えているからだ。この弱みを克服できない限り、世界経済が回復に向かっても、日本は成長軌道に乗れないだろう。
 日本経済の構造的弱みは、次の3つである。①非製造業(サービス産業)の生産性が低いこと、②グローバル化への取り組みが遅れていること、③労働人口が減る中で、人材が生かされていないこと。生産性が低い最大の要因は、サービス産業の規模が小さすぎ、過剰供給構造にあることだ。したがって、政治的には難しい政策だが、転業・廃業の支援が必要である。ここでカギになるのは、土地の所有権と利用権の分離である。商店街でも、所有権と利用権を分離することで成功した例があるが、このような大胆な取組みを行うには、何より危機感の共有が不可欠だ。
 グローバル化を進めるには、経済連携(FTA)の加速がカギだが、そのためには農業改革が必要である。また、対日直接投資の加速、金融資本市場の国際競争力強化など、課題は多い。日本の活路はアジアである。アジアの中間層(一定以上の所得をもつ層)に、商品やサービスをどう売っていくか、日本にどれだけ観光客をよべるかが、これからの経済を左右する。そのためには、開かれた国づくりをしなければならない。最近、構造改革という言葉すら使われなくなったが、やはり「改革なくして成長なし!」である。
 民主党政権の最大の難点は、経済成長への危機感が弱いこと。民主党のみならず、自民党も他のすべての政党が分配にのみ目が向いている。郵政問題をはじめとして、再び政府依存型の経済に戻るのではないかと大きな懸念を持っている。日本は、危機をバネに出来る国だったはずだ。そのためにも、人口減少やグローバル化への危機感を共有して、改革を継続したい。

*この講演要旨は、OFC事務局の責任で編集したものです。

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